【今日の企業分析】三菱重工株式会社
三菱重工株式会社
株価:3,272.0円(2025/5/30/10:00)
証券コード:7011(東証プライム)
三菱重工業は2023年に出版させて頂いた書籍にも掲載した銘柄です。あれから株価は6倍以上になりました。その当時から比べると、長いビジョンに関してトーンダウンしてしまうところではありますが、連日売買代金上位に名を連ねており、まだ市場の関心度は高い銘柄です。そこで日本株第一弾では三菱重工を取り上げていきたいと思います。
【中沢評価】

将来性 ★★★★
割安度 ★★
アップサイド ★★★
時価総額 ★★★
堅実性 ★★★★
【コメント】
私がこれまでNEKO TIMESやネコアドバイザリーなどで同社を含めた防衛3社(川崎重工・IHI)をお勧めしてきた理由は世界的な防衛費の増加です。岸田政権時にはGDP比2%まで防衛費を引き上げることとなりましたが、欧州ではGDP比3%まで増加をしており、この流れは日本も追随して行くトレンドでしょう。それがトランプ政権の発足により、米国が保守的思想に傾斜していることがその勢いを加速させます。それが足元の上昇理由です。後述していきますが、私の相場観では3-4年程度で見ていた上昇率をたった2年で達成していることからも、アップサイドの余力に関しては未知のところがあるというのが正直な感想です。ただ、何事もなければトランプ政権は3年半の期間が残っており、加えて様々なエリアで地政学のリスクを抱えているのが実情です。日本国内近郊でみても、朝鮮半島や中国の台湾侵攻など、身近にも問題は山積みです。地政学リスクに関してはいつ起こるか分からない問題であるため、それに対して株式のポジションを取ることは個人的にはナンセンスだとは思いますが、現状既に防衛費のインフレという上昇の裏付けが存在し、見えざるリスクはあくまで支援材料に過ぎないと仮定すれば、長期的な視点も見れる銘柄であるかなと考えます。では、以下、短期・中期・長期視点での相場観をまとめていきます。
【株価チャート】
日足(6ヶ月)

四季報オンライン
アップサイド:★★
ダウンサイドリスク:★★★★
テクニカル視点での投資妙味:★★
割安感:★★
【短評】三菱重工を”いま”を視点に見た場合、短期では買うタイミングを探るのではなく、売り時を考える処でしょう。買うならば防衛セクターは非常に強い材料を持っている中で、市場全体の下落に押さえた4月の安値や、出来高を伴い、3000円及び、直近高値を更新した5月22日までだったと考えます。トランプ氏の発言1つで左右される米国市場に連動する日本市場ですので、テクニカル度外視でモメンタム的な上昇の可能性も否定できませんが、今日の時点ではアップサイドの魅力に乏しく、調整した際の移動平均線に対する乖離率の高さからダウンサイドのパーセンテージの方が大きく、短気では魅力の乏しいタイミングと評価します。ローソク足で見ても5月29日の陰線、30日の十字線により、短期一服感も伺えます。
週足(5年)

四季報オンライン
アップサイド:★★★
ダウンサイドリスク:★★★
テクニカル視点での投資妙味:★★★★
割安感:★★
【短評】週足で見た場合、前回高値であった3000円手前を長大陽線で突破しておりますので、上昇の勢いは確認できます。このような相場ですので、全体相場の影響を大きく受ける状況ではございますが、3000円の下値は強固であり、ダウンサイドリスクも大きいようには感じません。ダウンサイドの限定さ、アップサイドの魅力から中期視点ではまだ魅力のある投資先と判断できるのではないでしょうか。
月足(10年)

四季報オンライン
アップサイド:★★★
ダウンサイドリスク:★★★
テクニカル視点での投資妙味:★★★
割安感:★★
【短評】
月足での長期チャートを見てもそのほとんどが陽線、下落時には長く下髭を伸ばすということで、下落したら買いという銘柄ではあります。ただ、冒頭申し上げたように、私が思い描いた上昇率まで2年ほど早く到達していること、そしてその期間において全体の上昇率と同様ではなく、指数を圧倒的にアウトパフォームしていることを考慮すると調整期間がいつきてもおかしくない状況のようには感じています。テーマとしては引き続き、世界的潮流のど真ん中ですのでポートフォリオに入れつつ、角に過信し過ぎず、しかるべき時には売却できる心構えだけを持ちながら長期保有が最善策ではないでしょうか。また、割安感については短期・中期・長期いずれも星2つとしておりますが、これは今のところ気にされなくて良いと考えます。グロース企業のような将来利益を強く織り込んだ割高さではなく、足ものと業績も連動しながら将来利益も織り込んでいく、極めて綺麗かつ、強い動きの証左です。星2個がむしろ魅力と見ていただきたい銘柄です。
【事業内容】
三菱重工業は、エネルギー、航空・宇宙、防衛、インフラ、物流、冷熱機器など多岐にわたる事業を展開する総合重工業メーカーです。
主な事業セグメントは以下の通りです。
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エナジーシステム:火力・原子力発電設備、再生可能エネルギー関連機器の製造・販売。
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航空・防衛・宇宙:航空機エンジン、防衛装備品、宇宙関連機器の製造・販売。
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インフラシステム:交通システム、産業機械、環境装置の製造・販売。
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物流・冷熱システム:物流機器、冷凍・空調機器の製造・販売。
【特徴・強み】
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多角的な事業ポートフォリオ:エネルギーから防衛、宇宙、インフラまで幅広い分野で事業を展開し、リスク分散と安定収益を実現しています。
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高い技術力と信頼性:長年の経験と技術革新により、高品質な製品とサービスを提供し、国内外で高い信頼を得ています。
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グローバルな展開:世界各地に拠点を持ち、現地ニーズに対応した製品・サービスを提供しています。
【株価参考指標】

年初来高値(25/5/28):3,365円
年初来安値(25/2/25):1,977.5円

四季報オンライン
【業績】

【売上の構成比(事業別)】※2024年度

【売上で見る競合他社】
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日立製作所:エネルギー、インフラ、ITなど多岐にわたる事業を展開。
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川崎重工業:航空機、鉄道車両、船舶などを手掛ける総合重工業メーカー。
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IHI:エネルギー、インフラ、航空宇宙などの分野で事業を展開。
【営業利益の構成比(事業別)】※2024年度

【営業利益で見る競合他社】
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日立製作所:高収益のIT・インフラ事業を展開し、安定した営業利益を確保。
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川崎重工業:航空宇宙・防衛分野での高収益事業を展開。
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IHI:航空エンジンやインフラ事業で高い収益性を実現。
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